猫のバレリーナ
(Updated: )バレエ教室の 窓辺(まどべ)に
いつも 一匹(いっぴき)の 猫が います。
教室の 中では、
皆んな 楽しそうに 踊って(おどって)います。
「ねえ、見て。また、あの 猫 来てる。」
葉月(はづき)は 前の 女の子に 囁き(ささやき)ました。
「本当だ。」
「葉月ちゃん、また そこ 遅れ(おくれ)たわよ。
しっかり 音を 聞(き)いてね」
葉月は、いつも 同じ ところを 間違えます。
葉月が 窓辺を 見ると、猫が ふふっと 笑いました。
夜に なりました。
葉月は お月様(おつきさま)を 見ています。
「あーあ、どうして みんなのように
うまく 踊れないんだろう。」
今夜は、なかなか 眠れそうに ありません。
「ニャーオン。」
猫の なきごえが しました。
「あっ、いつも バレエを 見ている 猫だ!」
葉月が 窓を 開けると、猫は するっと
部屋の 中に 入(はい)ってきました。
「猫は 身軽(みがる)で いいなあ。
きっと バレエも うまく 踊れるよね」
葉月は、猫の 背中(せなか)に 涙(なみだ)を ぽちんと 落(お)としました。
すると、
「大丈夫よ。」
声が 聞(き)こえてきました。
葉月は 目を ぱちくり させました。
「ねえ、今何か 言った?」
「夕暮れ(ゆうぐれ)時から よが 明(あ)けるまでは 猫の 時間。
人の 言葉も 話せるの。
私(あたし)は きらら」
「今夜 猫の 発表会(はっぴょうかい)で バレエを 踊るの。
一緒に こない?」
きららは、二本足(にほん あし)で 立つ(たつ)と、
くるくると 回って(まわって) 見せました。
「猫じゃないけど いいの?」と、 葉月が 言うと、
「今夜は 満月。特別な ひなの。」 と 言って、
きららは、自分の 体(からだ)から ひとつまみ 毛(け)を むしりました。
「さあ、 これを 手に 持って 猫に なりたいって
心から 願(ねが)って。おまじないを 唱(とな)えるから」
葉月は 目を 閉(と)じて 「猫に なりたい」と
心から 願いました。
「にゃんにゃん にゃんごろ 猫に なーれ。」
すると、どうでしょう。
葉月の 体は 猫に なっていました。
「一体(いったい)、どうなっちゃったの?」
「今夜 一晩(ひとばん)だけよ。 さあ、 行きましょう!」
きららは、すいっと 窓から
屋根(やね)の 上に 出て行きました。
葉月も おっかなびっくり、
きららの 後(あと)に ついて行きます。
きららと 葉月が お友達の 家の
そばを 通りかかると、
景子(けいこ)ちゃんも、かこちゃんも、てつくんも、
皆んな 部屋で バレエの 練習を していました。
「皆んな、おさらい していたんだ。」
「私たちも 発表会で 踊る 前に
おさらいを するのよ。 さあ、行きましょう。」
葉月の 動き(うごき)は、だんだん 猫らしく なってきました。
屋根を ぴょんぴょん 越えて(こえて)行きます。
屋根から 飛び降り(とびおり)、地面(じめん)を 走り(はしり)抜け(ぬけ)ていくと、
空き地(あきち)に 出ました。
そこには すでに たくさんの 猫たちが
集まっていました。
「きらら、遅いよ。」
「ごめん、 今日は、特別な 友達を
連(つ)れてきたの。」
「葉月ちゃんは、バレエを 習(なら)っているのよ。」
きららが 言うと、
「一緒に 踊ろう。」
猫たちが 口々(くちぐち)に 言いました。
「えー、無理だよ。私、 上手に 踊れないもん。」
「大丈夫。大丈夫。踊れるよ。」
きららが 葉月を 励(はげ)ましました。
「私、やってみる。」
猫に 変身(へんしん) したからでしょうか。
葉月は 軽(かろ)やかに 踊ります。
空(そら)に まあるい お月様が 顔を 出しました。
猫たちが 続々(ぞくぞく)と 空き地(あきち)に 集まってきます。
「発表会が 始まる。
もうすぐ 私たちの 出番(でばん)よ。」
葉月は きららたちと 猫の 発表会で
バレエを 踊ります。
「踊るって なんて 楽しいの。」
拍手(はくしゅ)を たくさん もらいました。
次の日、
バレエ教室の 窓辺には、
いつものように きららが いました。
部屋の 中では、
葉月たちが 踊っています。
「葉月ちゃん、今日は
上手に 踊れたね。」
先生に 褒(ほ)められて、
葉月は にこにこ顔(がお)です。
葉月は 外(そと)に 出(で)ると、
きららを ぎゅっと 抱(だ)きしめました。
「私、ちゃんと 踊れたよ。」
きららは
「ニャアー。」
と 一声(ひとこえ) なきました。
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